放射線の話題紹介 |
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三菱重工業(MHI)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、放射性物質の分布状況を可視化することが可能なカメラ装置「放射性物質が見える可視化カメラ」のプロトタイプ機「ASTROCAM7000」を共同開発したことを発表しました。 (出典:2012年11月16日 日経電子版プレスリリ−スより引用) 今回の「ASTROCAM7000」は、コンプトン散乱の原理を応用し、ガンマ線を検出することにより放射性物質を可視化することを可能にしたそうです。実際に放射線の飛来方向とそのエネルギ−(波長)をリアルタイムで同時に測定可能であり、放射性セシウム134(Cs-134)、同137(Cs-137)、放射性ヨウ素(I-131)など、ガンマ線を放出する物質を識別できるそうです。 ![]() 視野角は約180度。20〜30メートル離れた距離からの測定が可能で、家屋の屋根や敷地などの放射性物質の分布状況を簡単に画像として確認できるそうです。 去る2012年3月29日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムの分布を可視化できる、先出の「超広角コンプトンカメラ」を開発し発表したのですが、これは宇宙技術を応用し、放射線量が局所的に高いホットスポットを簡単に判別でき、除染の効率化が期待されていました。 例えば、中性子星などが放出するガンマ線を観測する天文衛星用センサーを応用したカメラで、地上を数十分間、広角で撮影すると、セシウムが放出するガンマ線に反応して放出源が画面上に表示され、ホットスポットを高い精度で特定できるそうです。 その他、東京電力などと共同で計画的避難区域に指定されている福島県飯舘村のスーパーや山林などで試験した結果、建物脇の溝や路面の継ぎ目などのホットスポットを、その場で見つけることに成功したそうです。開発したJAXAの高橋忠幸教授は「広い視野でセシウムの分布を短時間でとらえる画期的な技術だ。福島県内の除染に役立ててほしい」と話しています。 今回、発表されたカメラは、3月に発表された先出の「超広角コンプトンカメラ」をベースに改良したもので、感度、画像、視野角などを向上させたものとなっています。すなわち、「超広角コンプトンカメラ」に比べて、センササイズの大型化、ならびにセンサ枚数を増やしたことで高感度化を実現させ、これにより超広角コンプトンカメラの際に問題とされた撮影時間の大幅短縮が果たされたそうです。 また、冷却機構の小型化も実現でき、システム全体で7-8kg程度の重量とするこ とで、手で持ち運ぶことが可能となっているようです。 こうした知見は、JAXAと三菱重工および名古屋大学からな宇宙航空研究開発機構(JAXA)がる開発チームが、「先端計測分析技術・機器開発プログラム」を推進する科学技術振興機構(JST)の協力を得ており、さらに、福島第一原子力発電所の事故で飛散した放射性物質の影響を受けている地域などでの、早期の除染などを実現することを目的とした「ASTROCAM7000HS:ハイスピ−ド」の製品化へと展開が進められているそうです。大いに期待しましょう。(TN) |
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