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非電化の愉しい暮らし 。 ひとが電気をふやした、 電気がCO2をふやした CO2が厄介をふやした、 そうか電気をへらそう 電気をへらすと便利がへるぞ、 便利をへらすと時間がへるぞ 時間をへらすとお金がへるぞ、 お金をへらすと幸せがへるぞ ----------ほんとかな? (非電化工房の詩:抜粋)> 福島第一原発の事故を端にして電力不足が生じてから、世の中では節電やら、脱原発など頭が痛くなるような言葉が氾濫しています。 或る時、街中本屋の店頭で立ち読みした『エコ−ライフ&スロ−ライフのための愉しい非電化』に足を止められたことがあります。その本の著者は、日本大学教授:藤沢靖之:工学博士です。 現在、私たちは数限りない電化製品と共に暮らしています。パソコン、テレビ、DVD、冷蔵庫、掃除機、電気ポット、------電気の過剰利用が地球環境に悪影響を及ぼすことは周知の事実ですが、そこに問題意識を持つ人も少なくないと思います。今や電気のない生活など想像すら難しいからです。 ところが本書が紹介している非電化製品の数々には、本当にびっくりさせられました。中でもすごいのは非電化冷蔵庫の話で、夜間には宇宙空間へ放熱して、昼間はひたすら断熱しておくというものです。詳しい仕組みは本書で確認して欲しいのですが、同じ原理で非電化冷房も実現できるのだそうです。 著者が発明した冷蔵庫は、なんと電気を使わずに内部を効率よく冷やすことが出来るもので、熱伝導、自然対流、放射など自然エネルギ−の流れを利用しています。つまり、水で貯蔵室を囲むことで、貯蔵室内を冷たい状態に維持するという原理です。 私たちが普段使っているものにどれくらい電気が使われているか?、の部分では目からうろこで面白く説かれています。例えば掃除機は、吹くのに比べて吸うのはどれくらい非効率か?、空気を吸ってロウソクの火を消そうと思ったらそりゃ大変ですが、誰もが吹いて消します。なるほど。洗濯機の電気の多くは汚れではなく、洗剤を落とすために使われている。すすぎですね。これまたなるほど。 エネルギーの使い方としては非効率にならざるを得ない部分、電力使用量をアップして賄っている部分が多いのが、現代の電化製品、ということがよく分かりました。 また熱は、温度の高いところから低いところへとつたわるのが自然の流れですが。ク−ラ−は自然の流れとは逆に、室内よりも暑い外気へ、エネルギ−を使って、熱を強制的に移動させています。しかし、今の私たちの便利で快適な生活の前提となっているエネルギ−の存在は、決して永遠には続かないだろうと説いています。 著者は発明家でもあり、他にも、除湿機、洗濯機などの非電化製品も発明しています。気温の変化に伴う空気の膨張・収縮を利用して動かす時計もあるそうです。 多く弟子を携える非電化工房(主宰:藤沢靖之)は栃木県の那須高原にあります。「とことん便利に」「きっちり正確に」ではなく、本書に見られる「ホドホド」「ソコソコ」のいい加減さが愉しそうです。これこそがク−ルな生き方なのかもしれません。(TN) 平成24年8月27日 |
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