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宇宙でメダカの飼育実験へ 10月25日に打ち上げられたロシアの宇宙船ソユーズに積み込まれた日本のメダカ32匹が、同日、国際宇宙ステ−ション(ISS)に到着したそうです。到着したメダカは、早速、長期滞在中の星出彰彦宇宙飛行士(43)らによって、専用水槽(水がこぼれないような密閉構造で、餌も自動的に投入されるようになっている。)に移されたそうです。26日から星出宇宙飛行士が、日本とロシアのメダカを約2か月間、飼育する実験棟で実験を始めたそうです。(2012年10月26日読売新聞) これまでに、魚やカエル、エビなどの水生生物を飼育するライフサイエンス宇宙実験として、1990年にTBSの秋山豊記者の宇宙ガエル、1992年の毛利衛宇宙飛行士の宇宙タマゴ、1994年の向井千秋宇宙飛行士による宇宙イモリなどについて行われています。その期間は最長でも2週間程度の実験でした。 各々の宇宙実験に使用した動物は異なりますが、当時は神奈川歯大の鹿島勇教授らも共同研究者として加わり、骨の発生から初期石灰化、発育・成長、そして大人になった骨までの一連の流れと、骨に関する宇宙実験結果と地上における骨の老化とを対比させながら、人類は宇宙で繁栄することができるかどうかについて考察されました。 その際の詳しい報告は、鹿島勇教授が、「X線発見99年目の宇宙実験」と題して本協議会会誌通巻10号に、特別寄稿されております。興味のある方は是非、ご一読下さい。 メダカは成長と産卵の周期が早く、1〜2か月で世代交代するほか、遺伝的な情報も解明済みなので、実験生物としては扱いやすいそうです。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、今回は初めての長期飼育ということで、自動餌やり機の付いた専用水槽で2カ月間飼育し、宇宙の微小重力で骨が弱くなる仕組みや、無重力状態で起きる骨の弱体化の仕組みなど、細胞や遺伝子が変化する状態を詳しく調べるようです。 なお、星出彰彦宇宙飛行士は、宇宙航空研究開発機構に滞在中、4カ月の長時間に及んだ船外活動を冷静にこなした実績が、国際的に高く評価されており、その活躍は世界中から注目されています。11月19日には地球に帰還される予定ですが、ご無事で帰還されることをお祈りしております。(TN) |
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