会員コラム
私の視点

マウリッツハイス美術館展

 この夏、東京都美術館でマウリッツハイス美術館展が開催されていた。
オランダのマウリッツハイス美術館の世界的名画がたくさん展示された。7月土曜日の夕方 美術館へ行ったが、入館するのに30分ほど待ち、さらに「真珠の耳飾の少女」を目の前で見るのに30分かかった。「それでも立ち止まらないで!!」スタッフに言われ、そろそろと移動しながらの観賞である。

 「真珠の耳飾の少女」に会うのは2度目、マウリッツ美術館はそんなに大きな美術館ではない、私は一番気に入って穴の開くほどこの絵を眺めた。写真を1枚買って、額に入れ、我が家の居間に飾ってある。フェルメールの絵は多くない、「真珠の耳飾りの少女」は少ない中の代表作である。どこが良いのか? と問われてもはっきりしないが、フェルメール独特の静寂と、寂しげな印象、その中で、青のターバンと真珠のピアスの主張がいいのかな。

 絵画の中で人物画が最も好きである。モデルに対する画家の思いとモデルになった絵の中の人物が何かを語っているような気がしている。ところが、今回一つの静物画が印象に残った。ピーテル・クラスゾーンの「ヴァニタスの静物」である。油が無くなり火が消えた後の煙、傾いた砂時計が時の終わりをつげ、骸骨が生々しく書かれている。頭蓋骨は多分本物を見て書いているシェーデルに近い細かい描画で書かれていた。死ぬ前の人生のはかなさみたいなものを表現しているのである。音声ガイドが無ければ通り過ぎた静物画であるが、なんだかとても気になってしまった。

「肖像画」を「トローニー」というらしい。レンブラントのトローニーもすばらしい。東京はすでに終わったが、神戸市立博物館で2013年1月6日まで開かれる。機会があったらもう一度お目にかかりたい。    
2012.10 .30.(A.M.)
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